イベント開催報告

地域の「伝え方」で未来を変える!狭山経済新聞 編集長と考える地域活性化勉強会&交流会開催レポート(2/10開催)

2026年2月10日(火)、狭山経済新聞 編集長と考える地域活性化勉強会&交流会を開催しました!

今回の登壇者は、狭山経済新聞の編集長であり、埼玉県内でコワーキングスペースやシェアキッチン、宿泊施設など13施設を運営する株式会社コミュニティコム代表取締役の星野邦敏さんです。

2025年4月に創刊した「狭山経済新聞」の背景から、地域メディアが果たす役割、さらには農業や福祉、ITを掛け合わせた多角的な事業展開について、熱意あふれるお話を伺いました。

写真:参加者集合

狭山市を中心に、地域の資源や特性を活かして活動するプレイヤーを招き、参加者同士の「共創」が生まれる場をつくることを目的としたプロジェクトです! 狭山市産業労働センターを拠点に、地元を愛する起業家、クリエイター、行政、そして市民の皆さまが混ざり合い、新しいアクションが次々と芽吹くコミュニティを目指しています。

イベント概要

イベントアイキャッチ:【2/10開催】地域の「伝え方」で未来を変える!狭山経済新聞 編集長と考える地域活性化勉強会&交流会
日時2026年2月10日(火) 19:00〜21:00
会場狭山市産業労働センター 異業種交流スペース
〒350-1305 埼玉県狭山市入間川1-3-3​
登壇者星野 邦敏 氏(狭山経済新聞 編集長 / 株式会社コミュニティコム 代表取締役)

株式会社コミュニティコムが運営する「狭山経済新聞」と地域拠点の展開について、編集長の星野邦敏さんにお話しいただきました

写真:イベント中の様子

狭山経済新聞と地域活性化への想い

星野さん
狭山経済新聞編集長の星野邦敏と申します。本日はよろしくお願いいたします。

私たちは昨年の4月に「狭山経済新聞」を立ち上げました。この媒体は、単に自社サイトに掲載されるだけでなく、Yahoo!ニュース、dメニューニュース(旧ドコモニュース)、LINEニュース、スマートニュースなど、複数の媒体に記事が転送されます。 そのため、「狭山経済新聞という名前は知らなくても、そこで配信された文章や写真は見たことがある」という方も多いのではないでしょうか。

なぜこのような地域メディアを運営しているのか。その根底には、日本の人口減少に対する危機感があります。 狭山市も含め、多くの地域が人口減少フェーズにあります。誰かが産業を興し、仕事を作り、雇用を生み出さなければ、その地域に住み続けることすら困難になります。

コワーキングスペース狭山が併設されているこの施設(狭山市産業労働センター)や、狭山市ビジネスサポートセンター(Saya-Biz)のような拠点があることで、この街で商売をして売上を作る人を支えたい。 そして地域メディアとして「まちネタ」を発信することで、縁あって狭山に住んでいる方々が街の魅力に気づき、愛着を持ってもらうきっかけを作りたいと考えています。

写真:登壇者星野さん

街の「ストーリー」を伝え、挑戦者をヒーローにする

写真:登壇者星野さん

星野さん
私は商売を始めて21年目になりますが、地域で何かをゼロから起こす人は、どうしても少数派です。 周囲と違うことをする中で、「自分のやっていることは合っているのか」と孤独や不安を感じることも少なくありません。

私たちが取材を通してその人の「想い」を伝えることで、その人を街のヒーローにしたい。 例えば、ある日突然オープンした個人商店も、店主が寝て起きていきなり始めたわけではありません。そこには溢れるような想いや、物件探しなどの紆余曲折、必ず「ストーリー」があります。 そのストーリーを届けることで、「今日はチェーン店ではなく、あのお店に行ってみよう」という動きが生まれ、街が活性化していくと信じています。

私たちが参加している「みんなの経済新聞ネットワーク」は、現在、国内・海外合わせて約140媒体あります。 埼玉県内だけでも秩父、本庄、熊谷、川越、狭山、大宮、浦和、川口、春日部の9媒体が稼働しています。 各地域の地場の中小企業が運営しており、その地域に拠点があることがルールとなっています。

IT、不動産、農業、福祉……多角的な事業展開の裏側

星野さん
私自身の活動についても少しお話しさせてください。私は2006年に個人事業主として創業し、2008年に法人化しました。 最初に取り組んだのはIT事業ですが、地元である埼玉県に戻り、14年前に大宮駅東口に「コワーキングスペース7F(ナナエフ)」を作りました。  当時はまだコワーキングスペースの走りの時期でした。

そこから活動は多岐にわたり、現在は直営・受託合わせて13施設を運営しています。

  • シェアキッチン:高齢化でシャッターが閉まった店や使われていない施設を改装し、曜日替わりで自分で飲食店をやってみたい人に貸し出す仕組み。
  • 空家再生と宿泊事業:秩父で空家を改装し、サウナ付きの一棟貸し宿泊施設を運営。間伐材の利活用や、自作のサウナ小屋設置など、社会課題解決も兼ねています。
  • 歴史的建造物の利活用:旧埼玉りそな銀行川越支店(旧八十五銀行)の公募に採択され、シェアキッチンやコワーキングスペースの企画・運営を担当しています。
  • 行政受託:埼玉県のイノベーション創出拠点「渋沢MIX」の運営を受託し、スタートアップ支援も行っています。
写真:イベント中の様子

さらに、私個人としても農業に力を入れています。3年間の研修を経て、今年の5月1日から正式に農家(新規就農者)になります。 休耕地を活用し、子どもたちと一緒にサツマイモを作り、焼き芋にして販売するイベントを4年続けています。

サツマイモの苗は1本約40円ですが、焼き芋にすれば1本400円ほどで売れることもあります。 子どもたちに土に触れてもらうだけでなく、利益をその場で分配することで「商売の体験」も提供しています。 私にも4歳と2歳の子どもがおり、次世代に何を残せるかを常に考えています。

地域メディア「経済新聞」の運営と収益構造

星野さん
経済新聞の運営において、私たちは「一次情報(一次ソース)」に徹底的にこだわっています。 ネット上の情報を繋ぎ合わせた記事ではなく、必ず取材に行き、直接話を聞く。 これは、AI時代においてネットに出ていない情報を私たちが持っているという強みになります。

コンテンツは「街のハッピーニュース」に特化しています。政治、事件、事故、あるいはネガティブな閉店情報は原則扱いません。 平日1日1記事を目標に、読み手が「暇だな」と感じた瞬間に1〜2分で読める、800文字から1200文字程度の記事を配信しています。

気になる収益面ですが、実はそれほど大きな利益が出るわけではありません。

  1. Google AdSenseなどの広告収入
  2. Yahoo!ニュース等への配信料
  3. 記事広告の掲載料

これらが主な収入源です。大宮や浦和のように十数年続いている媒体では年間数百万円の売上になりますが、運営を維持するためのコストもかかります。

しかし、私たちが取り上げたことがきっかけで、テレビ番組(「人生の楽園」など)や新聞の後追い取材が入り、取材先が大きな注目を集めることが多々あります。 大宮の焼き鳥屋さんの予約が一気に増えたり、秩父の宿泊施設の予約が100万円以上増えたり、与野本町の和菓子屋さんの「くず菓子」が「溶けないアイス くずバー」として市の名産品になったりといった事例があります。 この「きっかけ」を作れることこそが、私たちがこの活動を続ける最大の意義です。

何者でもなかった時代を経て、今伝えたいこと

星野さん
最後になりますが、私がなぜここまで地域や事業にのめり込んでいるのか。実は私は大学卒業後、就職氷河期の影響もあり、27歳まで自宅からほぼ出ない「引きこもり」の状態にありました。

貯金が8万円しかなかったとき、3万円を握りしめてブックオフの100円コーナーで本を買い、それをヤフオクで売ることから商売を始めました。 当時、埼玉県内で大きなブックオフといえば大宮か狭山だったので、親の車で狭山にもよく通っていたんです。 そこからHTMLやWordPressを独学で覚え、IT事業を起こし、今に至ります。

ずっと「何者でもない時代」が長かったからこそ、自分がいたことでこの業界や地域が少しでも良くなった、と言えるものを残したい。 経済新聞も、5年後、10年後に記事として残り続けます。 誰かに光を当てる活動を、健康である限り続けていきたいと思っています。

現在、狭山経済新聞では業務委託のライターさんを募集しています。 地域に愛着のある方と一緒に、この街を盛り上げていければうれしいです。

質疑応答

[質問者] 全国140もの媒体があり、多くの中小企業が運営されているとのことですが、皆さん収益化が難しい中でどのようなモチベーションで続けているのでしょうか。

星野さん
いくつかパターンがあります。一つはCSR(企業の社会的責任)として、地域貢献や人脈作りを目的にしているケース。 二つ目は私のようにコワーキングスペースなどの拠点を運営しているケース。店で待っているだけでは出会えない「外の面白い人」に会いに行くための、最強のツールが「取材」です。 山口や弘前、横浜などのように、営業力や執筆力が非常に高く、媒体単体でしっかりと採算を合わせている強者も存在します。

[質問者] 事業者が変わったり、継続が難しくなったりした時の対策はありますか?

星野さん
基本的には各地域の運営者が踏ん張っていますが、事業継承の仕組みもあります。 例えば浦和経済新聞は、前任者が病気で継続困難になった際に私たちが引き継ぎました。 川越のように3回ほど事業者が変わった例もあります。 辞める理由は本業の多忙や採算性などさまざまですが、やりたいという人が現れれば、本部のサポートを得て再開することも可能です。

まとめ

講演後の交流会も非常に盛り上がり、地域の枠を超えた新たなつながりが生まれる貴重な時間となりました。

これからも、埼玉県内の各地域の起業家とともに地域活性化勉強会&交流会を開催していきます。その他にも、セミナーやネットワーキングイベントなど、さまざまなイベントを開催していますので、ぜひホームページをチェックしてください!

次回の開催もどうぞお楽しみに!